事業成果報告書
別添資料
資格枠組のレベル定義(レベルディスクリプター)
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資格枠組のレベル定義(概要)
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学修成果指標
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ガイドライン
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事業成果報告書
学修成果指標共有システム関連
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事業の概要
当機構では、平成30年度から令和2年度の文部科学省委託事業 (以下「令和2年度事業」)の中で、わが国において使用されることを想定し、かつ、国際通用性のある「資格枠組のレベル定義」を策定した。
本事業は、この事業成果を継承し、学校評価の充実等に結び付けることを目的とした事業として位置付けられる。
本事業の背景
学修成果の可視化に関する流れ
学修成果をシステマティックに評価して公開する機運は、大学等における認証評価の開始以降、特に高まってきたように思われる。
平成16年度に始まった認証評価では、たとえば、大学評価・学位授与機構の評価基準の一つとして「教育成果」が設定されていたが、学修者からの視点を重視する流れにしたがって、平成23年度からの2巡目では「学修成果」と改められた。
平成26年度から実施された文部科学省の「大学教育再生加速プログラム(AP:Acceleration Program for University Education Rebuilding)」では、「学修成果の可視化」をテーマとした事業が多くを占めていた。
このような流れを受け、多くの高等教育機関では、ルーブリックやカリキュラムマップなどの枠組を作成し、学修成果をあげるための工夫やその可視化が試みられている。
しかしながら、それらの試みの多くは、学修成果を測定する枠組の構築に重きが置かれており、学修成果を測る基準、すなわち、枠組の中身の議論が進んでいないように思われる。
ルーブリックの形は整っているものの、その中身は成績評価基準をそのまま転写しただけで、しかもその内容は学校の中でしか通用せず、学生の将来のキャリア形成の基礎として位置付けるような視点に乏しいものも多い。
資格枠組のレベル定義(レベルディスクリプター)の策定
今、高等教育機関に求められている学修成果の枠組は、グローバル化が進み、人生100年時代を迎えようとしている現代社会において、生涯に渡って参照可能で、かつ、国際通用性のあるレベル定義(レベルディスクリプター)である。
わが国には、諸外国に存在する「国家資格枠組(NQF、National Qualifications Framework)」が存在しない。
職業教育の観点から見ると、多くの専門学校生が取得目標とする国家試験は数多く存在し、中核的人材の輩出に少なからず貢献している。
しかし、これらは各省庁が独自に設置・運営しているものがほとんどであり、国家的な観点からレベルの統一を図り、さらに、人材の移動可能性を促進するような発想はないに等しい。
本事業の目的と概要
本事業は、「資格枠組のレベル定義」を頂点としたコンピテンシー体系を、産業界、専門職高等教育機関、高等学校等と共有し、各職業分野で求められている学修成果の測定に用いる仕組みについて研究することを目的としている。
このとき、いくつかの職業分野を事例として、人材ニーズをもつ産業界と、人材供給源となる専門学校間において先行的に活用し、将来的には学修成果の測定のみならず、就職した後の職業能力の判定などに用いることにより、資格枠組の有用性を検証する。
本事業の実施内容
事業実施の年次計画
本年度事業では、目的達成のための第一段階として、専修学校(養成施設等)と産業界(国家試験合格者を雇用する業界等)、高等学校との間で活用されていくことを目指し、将来的に、職業分野に依存することなくその活用を広げていくスキームの構築を目指す。職業分野としては、「美容」、「ゲーム・CG」、「動物」、「土木・建築」の4分野を対象とする。
2年目の事業では、1年目のスキームの国際通用性の検証を目的とした海外展開を進めるとともに、学校(学科)単位の学修成果評価の方法を検討する。
最終年度では、職業分野ごとに代表校を選定し、学校(学科)ごとの「学修成果評価」を試行し、産業界、高等学校等(海外の主体も含む)のステークホルダーによるアセスメントを実施して、3年間の事業成果とその発展可能性について検証する。
令和3年度の取組
本年度事業は3年計画の2年目として、産業界、専門職高等教育機関、高等学校が「資格枠組のレベル定義」を共有し、かつ、これをそれぞれの立場で活用する仕組みの原型を構築する。この仕組みの構築を目標として、本事業では大きく次の5つの取組を進める。
- 資格枠組のレベル定義および学修成果指標の改善
- 学修成果情報共有システムのプロトタイプの完成
- プロトタイプの試用
- 国際シンポジウムの実施
本年度は、昨年度に行った学修成果情報共有システムに対するニーズ調査の結果を踏まえ、同システムを設計し、そのプロトタイプを完成させ、使い勝手などについて意見聴取を行った。
また、その過程で得られた学修成果指標に対する意見も反映させて指標の改訂を行った。
一方、この数年における本事業の成果をもとに国際的な意見交換を行う場として、「科学技術革新に貢献する専門職高等教育」と名付けた国際シンポジウムを企画・実施した。
「学修成果指標」および「ガイドライン」の改善
「資格枠組のレベル定義」については、専修学校専門課程(2年課程)卒業時を明確にレベル5として位置づけた結果、昨年度事業において一通りの整備が終了した。その整備に合わせて、海外普及を図ることを目的として、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、ベトナム語に翻訳を行った。
同様に、昨年度は職業分野ごとの学修成果指標についても、資格枠組のレベル定義の改訂に伴って改訂したが、一部、済まなかった箇所もあったことから、今年度もその作業を継続して行った。
また、合わせて、職業分野ごとの「ガイドライン」の改訂も行った。
美容分野-美容師職種
「学修成果指標」のレベル4~6の「知識と理解」「専門実践技能」について見直しを行った。それに合わせて「ガイドライン」を改訂した。
ゲーム・CG分野-ゲームクリエイター職種
「学修成果指標」「ガイドライン」ともにほとんど改訂点はなかった。
動物分野-動物看護職職種
「ガイドライン」の「指針」における空白を減らした。
土木・建築分野-土木施工管理職種
全般的に国家資格の位置づけをチェックし、その結果、主に、「知識と理解」の部分を改訂した。
学修成果情報共有システム
学修成果情報共有システムの概要
本事業では、産業界、専門職高等教育機関、高等学校が、それぞれに所属する人材の情報を共有するシステムについて、図のようなイメージを抱いている。
すなわち、このシステムは、
- よい人材を獲得したい産業界
- 産業界が必要とする人材を育成しようとする専門職高等教育機関
- よい教育機関に人材を送り出したい高等学校
これらが、「資格枠組のレベル定義(レベルディスクリプター:LD)」にしたがった共通の尺度で学修成果を測定し、その結果を共有することによって、互いにメリットをもたらすことを目指している。
この仕組みの実現に向けて、「資格枠組のレベル定義」という共通の尺度を参照することを前提として、システムに対する産業界と専門学校との間のニーズを詳細にとらえるための調査を、昨年度事業において実施した。
なお、図中の表内にある「知」「汎」「専」…「倫」と1字で書いてあるものは、学修成果指標の8つの人材特性で、それぞれが表すものは、次表のとおりである。
また、「DP」「CP」「AP」は、教育機関における3つのポリシーで、それぞれが表すものは、次表のとおりである。
学修成果情報共有システムの開発
本事業では、OSSである「mahara」を活用して、学修成果情報共有システムを構築した。
「mahara」はeポートフォリオシステム(以下、「本システム」)として著名なもので、一般に、学修成果情報を共有するためのシステムとして適切なものであるとされる。
本年度は、
(1)本システムの構築
(2)本システムを活用した学修成果情報共有に関する理解
を目的として、各分科会での議論を行った。
分科会では、事務局が「学修成果情報共有システム」のデモンストレーション操作を行い、理解の促進に努めた。
その結果、次ページから示す、分野ごとのヒアリング調査結果を得た。
この調査結果を受け、本事業の最終年度に当たる来年度事業において、本システムの完成を目指すこととした。
学修成果情報共有システムに関するヒアリング結果
ヒアリングは、「学修成果情報共有システムの課題」と題する文書を作成して各分科会に提示し、その文書に対する回答を、令和4年1月20日~24日に行った本年度最終分科会を得るという形式で行った。
以下は、その回答に関する分科会の論点をまとめたものである。
学修成果指標の項目のグループ化を行う
現在のmaharaの仕様は、機能として十分であるが、学修成果指標が現状のままでは、情報の入力量が相当に多くなってしまう。
たとえば、動物分野のレベル4の場合58の項目があり、1つの項目についてテキストでアノテーションを入力するとなると、入力する内容が決まっていたとしても、それだけで2時間以上を要すると予想される。
そこで、58の項目をグループ化するなどして、項目数を1/3にするなどの方法によって、入力の手間を省く方法が考えられる。
もちろん、項目数が58になったのはそれなりの理由があったわけであるから、アノテーションの入力の際、各項目に触れることは大切なことなので、そのことをもっと手際よく学生に対して伝える術が必要であることは言うまでもない。
Excelの学修成果測定シートを活用する
令和元年度事業では、「学修成果測定シート」を開発した。
このシートを活用して、学修成果をmaharaシステムの外側で学生が管理し、学修成果情報共有システムの上で添付して入力する方法が考えられる。
このようにすれば、膨大なテキスト入力が必要であるという欠点を是正することが可能である。
もちろん、その場合に弊害もあるので、それを抽出して解決することは必要であるが、
- 各レベルで達成すべき学修成果を一覧できる
- 膨大なテキスト入力を避けることができる
- 教員がそれを承認する手続きには影響を与えない
などのメリットがある。
唯一、学修成果測定シートの管理が、学生の責任になるので、そのことに注意する必要があるが、1つの学修成果測定シートを大切に利用する習慣を身につけさせることなどによって、学生にとってメリットも大きいと推察できる。
maharaの持っているコミュニケーションツールとしての機能はそのまま活用する
maharaには様々なコミュニケーションツールとしての機能がある。
たとえば、アノテーションはともかく、フィードバック機能を活用して、教員と学生がコミュニケーションすることも妨げない。
また、作品の評価が必要となる分野にとっては、たとえば、ゲームシステムの映像を添付するとか、美容分野で作品を写真に撮って添付するなどの機能はそのまま利用できる。
事例としてマニュアルを改訂する
マニュアルは、現状、動物分野の事例のみを取り扱った形で用意されているが、四つの分野の事例を組み込んだ形で調整を行って改訂することにより、取り扱いやすいものにする。
以上を令和4年度事業開始までに行い、令和4年度事業開始時に、実証実験を開始できるようにする。
国際シンポジウム
国際シンポジウムのプログラム
本年度事業では、「科学技術革新に貢献する専門職高等教育」と題する国際シンポジウムを、次の要領で実施した。
日 時:2022年1月27日(木)
場 所:ハリウッド大学院大学
参 加:会場参加またはオンライン参加
参加人数:約80名(会場参加10名、オンライン参加70名)