事業の概要

事業のテーマ

職業実践専門課程(職実)ポートレートセンターの構築と運用へ向けて

事業の概要

職業実践専門課程認定校が公表する様式4のデータをデータベース化し、閲覧に期すための職業実践専門課程(職実)ポートレートセンターを構築・運用する。当機構では、令和2~4年度の委託事業で職実課程のポートレートシステム(職実ポートレート)を構築したが、本格的普及にまでは至っていない。本事業ではそのシステムを改編し、かつ、データ入力方式を刷新して、センターの本格的な稼働に向けた活動を行う。

事業実施の成果目標

「専修学校の専門課程における職業実践専門課程の認定に関する規程」では、「専修学校は…(中略)…当該認定された課程の情報をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。」とし、決められた様式に従った情報公開を求めている。しかし、この情報公開はPDF形式のファイルの開示に留まっており、しかも多くの専修学校ではこのファイルを1年ごとに更新しているため、数理的な分析が大変しにくい状況になっている。当機構ではこの点に着目し、令和2年度事業以降、この様式のデータベース化を進めてきた。

本事業の目的は、このデータベース化の事業を本格的かつ効率的に進め、当機構が職実ポートレートセンターとしての位置づけを得て、その機能を発揮することである。

初年度は職実ポートレート運営会議を発足させ、職実ポートレートの運営方針を決定し、その方針に従った職実ポートレートシステムの運用方法を確立する。

本事業の全体像
【図1 本事業の全体像】

成果目標を達成するための具体的な方法

本事業では、職実ポートレートセンターの原型を作り、その本格的稼働に向けた実証実験を行う。本事業における取組は大きく次の3つの段階に分けて構想している。

1.職実ポートレート運営会議の創設・運営

職実ポートレートの運営方針の決定などを目的として、職実ポートレート運営会議(以下「運営会議」)を組織する。その構成員は次の者を構想している。
(1)専修学校団体の関係者…4名
(2)職実ポートレート事業に関わる団体の関係者…4名
(3)専修学校関係者…4名
(4)利用者代表…4名

職実ポートレート運営会議の各種機能
【図2 職実ポートレート運営会議の各種機能】

2.職実ポートレートの普及・促進

新たな仕組みとなった職実ポートレートの普及・促進活動を進めるために、運用マニュアルをはじめとしたオンラインマニュアル類、映像の開発を進め、その活用方法を伝える普及・促進セミナー等を開催する。マニュアルは、大きく分けて2種類作成する。いずれも、冊子、オンラインの2パターンを用意する。

(1)ユーザーズマニュアル(外部向け)

職実ポートレートの使い方を伝えるための目的で作成する。
ユーザー向けには、使用法を動画で伝える映像を制作し、当機構のホームページから閲覧できるようにする。

(2)職実ポートレートセンター用(内部向け)

RPAの取り扱い等、職実ポートレートセンターの内部で使用することを念頭に置いた各種のマニュアルである。

以上のツールを使用して、本年度の終盤に、普及・促進セミナーを全国3か所で開催する。このセミナーは、専修学校職業実践専門課程にとって情報を公開する意味・意義を解説する内容も含めたものとし、職実ポートレートの充実に資する内容とする。

〇普及・促進セミナーの開催要領
 A 場所(予定)
   東京、大阪、福岡
 B 時期(予定)
   2024年1月~2月
 C 内容(予定)
   ・職実課程にとっての情報公開の意味と意義
   ・職実ポートレートセンターの位置づけ
   ・職実ポートレートの使用方法と活用法

3.事業終了後の方針について
 (本事業の成果の普及・活用等について具体的に記載)

本事業の成果は、職業実践専門課程の情報公開を飛躍的に後押しする。現状の様式4の情報公開は、数理的に取り扱うことができない点で単なる情報の披露にとどまっている。しかし、データベース化されることで、複数の職実課程に跨った各種分析、一つの課程の時系列的な分析、AIシステムに対するインプット情報の提供など、その応用範囲は多岐に渡るものとなる。

事業実施における特記事項について

本取組における当機構の工夫として、RPA(Robotic Process Automation)の活用が挙げられる。

職実課程には、様式4データを作成・公開する事務的負担感がある。その負担感の上に、職実課程側に、職実データベースに様式4データを入力させるのは受け入れ難いと思われる。実際、大学ポートレートでは自校のホームページの作成に加えて、大学ポートレートに入力を求められていることから、項目値として、自校のホームページの該当項目へのリンクを設定している例がかなり多く見られる。これでは、項目値を目で見るための用は足せても、一般利用者にとっての負担感が非常に大きい。

その点、職実課程の場合、公開様式が定まっているので、これをデータベースシステムに納められれば、その値を数値的に処理することや、学校間の見た目の統一性が保てることとなり、大学ポートレートよりむしろ使い勝手がよいことになる。ただし、各職実課程が公開様式を編集する手間を省くことはできない。

そこで、職実ポートレートセンターとしては、公開様式をExcel形式で得て、RPAの力で自動入力を目指すことで、大量のデータを効率的にデータベースに納めることを企図した。実際、RPAソフトウェアであるUiPathを使用した実験にしたがえば、下図のように飛躍的な効率アップが可能になる。

RPAソフトウェアの導入効果
【図3 RPAソフトウェアの導入効果】