事業の概要

事業のテーマ

職業実践専門課程版ポートレートの構築(ポートレート事業)

事業の目的

専修学校職業実践専門課程制度の発足およびその後のフォローアップにより、専修学校の情報公開は徐々に進みつつある。
しかし、この制度では公開の「様式」が定められているものの、情報の管理・提供方法が学校に任されているため、ステークホルダーから見た利便性が高いとはいえない。

本事業の第一の目的は、大学等において一般的になりつつある「大学ポートレートシステム」なども参照しながら、利用側・学校側双方にとって有用で、職業実践専門課程制度の趣旨に叶った情報システムのあり方を研究し、開発することである。

実施の取組概要

本事業は、令和元年度において作成した「職業実践専門課程ポートレートシステム」(以下「ポートレート」)のプロトタイプをベースに、情報公開ニーズに応えるための機能を付加し、専門学校に関わるステークホルダーの利便性を向上させるためのものである。本事業ではその趣旨にかなうものとして次のような取組を進める。

  1. 多言語化
    NICシステムは日英対応となっており、このシステムとのリンクは、ポートレートの多言語化を必須としている。
    この認識の下、本事業では初年度と2年目において、日英対応、日中対応を進める。
  2. 付加機能開発
    データベースシステムであることのメリットを活かすために、プロトタイプシステムにおいてはすでに、一つの認定課程における時系列比較機能を開発・実装した。
    今後は、異なる認定課程・認定校間の比較を可能とするなど、利用者の利便性向上を図る付加的機能の開発を進める。
  3. NICシステムとの連携
    NICシステムを利用すれば、すべての専修学校に関する学校名・学科名などの基本的情報を検索できる。近い将来、職業実践専門課程としての認定の有無も識別可能になる予定である。
    そこで本事業では、NICシステムにおける検索結果をベースに、ポートレートへのシームレスなリンクを可能とする仕組みを構築する。初年度はその仕様を定義し、2年目以降開発・実装を進める。
  4. データの充実と普及・促進
    現状、プロトタイプにおいては、実施協力校十数校の2~3年分のデータが収められている。
    ポートレートが専門学校のステークホルダーにとってより有用なものとするために、当初の2年間は本事業の中でデータの充実を図るとともに、2年目以降は、職業実践専門課程認定校が自力でデータエントリーを進めるための普及・促進活動を、合わせて進めていく。

ポートレート事業実施の年次計画

事業内容の説明

事業実施の成果目標

令和2年度事業は3年計画の初年度として、令和元年度文部科学省委託事業の成果としてのポートレートシステム(以下、単に「ポートレート」)のプロトタイプをベースに、多言語化、付加機能開発、NICシステム連携、データ充実を進め、ポートレート認知のための普及・促進セミナーを実施する。

令和2年度の成果目標

  1. 多言語化
    多言語対応アプリを利用し、動的に表示されるデータの多言語化を実現する。令和2年度事業の中では英訳および中訳に対応する。
    ポートレートで利用者に対して表示されるページの内容は、定型的な項目名とその値である。
    項目名はあらかじめ翻訳結果を登録しておけば誤訳はない。
    値のうちテキストデータについては、定型的なことばが含まれるので、これも翻訳結果を登録することで誤訳を回避できる。
    したがって、翻訳の対象は専ら学校がオリジナルに作成する文が中心となるが、日本語の文章として比較的適切なものが入力されていると推察でき、ソフトウェアによる自動翻訳(機械翻訳)であっても誤訳は多くないと思われる。
    実際、そのような翻訳で多言語化されているWebページも数多く実績があり、本事業でもその方式で多言語化を試みる。
  2. 付加機能開発
    令和元年度事業の成果であるポートレートプロトタイプでは、一つの課程における時系列的な分析を可能とする機能を実装した。
    次の段階として、同分野の他校の他課程と比較する、あるいは、分野ごとに該当する課程の合計や平均を求める、科目の内容記述を比較するといった、横断的な比較・分析機能の開発が待たれる状況にある。
    令和2年度においてはそのような横断的機能のニーズを定義し、機能の概要・詳細に関する設計を行う。
  3. NICシステムとの連携
     現在のところ想定される連携は、一方向、すなわち、NICシステムによって検索された職業実践専門課程から、本ポートレートにリンクが設定されることを基本としたものである。
    この連携システムを実現するには、むしろNICシステムにおける改編が必要で、令和2年度事業においてはまずその仕様の確定を目標に取り組む。具体的には、現状では、少なくとも設置者コードと学校コードの情報があれば容易にポートレートへリンクできる仕様になっていることをベースに、NICシステムにおいて検討する。
  4. データ充実
    職業実践専門課程の基本情報がもつ情報量は、認定課程ごとにかなり差がある。
    特に、科目の内容を詳細に公開している学校では、相当な入力量になる一方で、そうでない学校では1課程あたり1,2時間あれば1年分を入力するのは容易である。
    本事業の中では、入力する項目の優先度を定義し、できるかぎり多くの学校・課程の情報をエントリーすることでデータの充実度を高め、利用価値の高いシステムであることをアピールしていきたい。
  5. 普及セミナー実施
    全国的に見て、まだポートレートの認知度は低い。
    多くの学校がデータを入れれば入れるほどその利用価値は高まる。
    そのことを認知するために
    ア 多言語化によって、学校は労せずして英語や中国語のページを作成できる
    イ 多くの学校の情報があることによって高等学校の進路指導等において利用価値が高まる
    ウ 各種の分析機能によって、新たな情報を入手可能であるといったメリットがあることを伝えることを主目的としたセミナーを、東京と大阪で開催する。

ポートレート提案年度の取組

事業実施に伴うアウトプット(成果物)

本事業の最終的な姿は図のとおりシンプルなもので、この姿を目指して3年間の取組を続け、年度ごとに成果物を順次アウトプットしていく。

ポートレート3年後の姿

▼1年目のアウトプット

  • ポートレートシステム(2020バージョン)、日英中対応、検索機能、表示機能、時系列分析機能、エクスポート機能、付加機能
  • 活用マニュアル・編集マニュアル(2020バージョン)
  • 基本情報等のデータ
  • 事業成果報告書

▼2年目のアウトプット

  • ポートレートシステム(2021バージョン)、日英中対応、検索機能、表示機能、時系列分析機能、横断分析機能、エクスポート機能、付加機能
  • 活用・編集マニュアル(2021バージョン)
  • 活用・編集講座(オンライン学習)(2021バージョン)
  • 基本情報等のデータ
  • 事業成果報告書

▼3年目のアウトプット

  • ポートレートシステム(2022バージョン)、日英中対応、検索機能、表示機能、時系列分析機能、横断分析機能、エクスポート機能、付加機能、フロントエンド機能
  • 活用・編集マニュアル(2022バージョン)
  • 活用・編集講座(オンライン学習)(2022バージョン)
  • 基本情報等のデータ
  • 事業成果報告書