事業の概要
事業のテーマ
職業実践専門課程に相応しいポートレートシステムの要件定義
事業実施期間
委託を受けた日から平成31年3月8日まで
事業の概要
専修学校職業実践専門課程の質保証・向上を目的として、同課程の情報公開・提供に対するニーズを満たす情報システム(仮称「ポートレートシステム」)を開発する。
このシステムは2年をかけて開発し、2019年度終了時点から、自立したシステムとして一般公開する。
本年度は、ポートレートシステムのプロトタイプを開発して利用者側・学校側による試用を行い、その意見聴取結果をもとにしたシステムの要件定義を行う。
事業内容の説明
事業実施の成果目標
本事業の目的
専修学校職業実践専門課程制度は、「情報公開」を認定要件の要素としたことにより、専修学校の情報公開を一歩後押しした。
しかし、本制度では公開の「様式」が定められているものの、情報の管理・提供方法が学校に任されているため、ステークホルダーから見た利便性が高いとはいえない。
本事業の目的は、大学等において一般的になりつつある「大学ポートレートシステム」なども参照しながら、利用側・学校側双方にとって有用で、職業実践専門課程制度の趣旨に叶った情報システムのあり方を研究することである。
本事業の背景
現状では、職業実践専門課程に求められている情報公開・提供の「様式」は表計算ソフトのファイルである。
したがって、情報公開・提供の形は、認定校が編集したファイルをPDF形式にしてホームページにアップロードしたり、行政機関に対してメールの添付ファイルとして提供したりする方法にならざるを得ない。
そのため、一般市民、高校生、保護者、行政機関などの利用者から見た場合、次のような問題が生じている。
- ホームページに公開する場所は学校の判断に委ねられているため、検索が容易でない。
- 公開される情報が、年度ごと・課程ごとに一つのファイル形式であるため、課程間比較、時系列比較がしにくい。
- ほとんどの場合公開される情報がPDF形式であるため、数値としての活用がしにくい。
- 様式は決まっているが、自由度の高い項目が多く、学校間の統一感に乏しい。
このような問題は、大学等の場合も同様であった。2004年度に認証評価制度が開始され、大学等の情報公開に対する姿勢が変化し、その後の10余年で、ホームページ等の上に公開される情報の量は飛躍的に増加した。
しかし、公開のしかたに関する統一的ルールは存在せず、情報の利用者にとっては、前記同様の問題が生じていた。
この問題を解決するために、文部科学省では「大学における教育情報の活用支援と公表の促進に関する協力者会議」の中で議論を重ね、その結果を2011年8月に公示された「大学における教育情報の活用・公表に関する中間まとめ」として公表し、その中で「データベースを用いた教育情報の活用・公表のための共通的な仕組みの構築」が提言された。
その後、2012年2月から2014年2月にかけて、「大学ポートレート(仮称)準備委員会」での検討が進み、2014年7月、独立行政法人大学評価・学位授与機構に大学ポートレート運営会議および同センターが設置された。
その後、2014年10月に、「大学ポートレート」としてWebサイトを通じた大学の教育情報の提供が開始され、現在に至っている。
それから3年以上が経過している今、大学等が公開する情報の概要を知るためのポータルサイトとしての存在感を増しつつある。
「ポートレートシステム」に求められる要件の概要
本事業は、以上に示した大学等のケースを踏襲し、専修学校職業実践専門課程においても同様のプロセスを経て、「ポートレートシステム」を開発するものである。
このシステムでは、数千にも上る課程の情報を管理する必要があるので、それらを一元的・体系的に管理するデータベースシステムとしての開発が必須であり、かつ、一般利用者のアクセシビリティの観点からWebによるアクセスを可能とする仕組みが必要となる。
このシステムの開発後において想定される利用者側のメリットとしては、次のようなものが挙げられる。
- ポータルサイトからすべての学校のデータを参照できる。
- 参照ニーズに応じた検索機能を利用できる。
- 学校間、分野間の比較や同じ学校(課程)の時系列比較ができる。
- エクスポート機能等を活用した数値データの加工が可能となる。
また、情報公開・提供の主体である学校側のメリットとして、初回のデータ入力は情報量も多く、作業は容易とはいえないことが想定されるが、ひとたびデータを入力すれば、年度ごとの更新は過年度のデータを参照・コピーすることができるので、入力・編集作業は大幅に簡素化できることが挙げられる。
さらに、すでに職業実践専門課程認定校においては、表計算ソフトの「様式」ファイルの編集方法を標準化し、効率的なデータ編集業務を確立していることも想定されることから、そのような場合に、「ポートレートシステム」に入力するデータを、「様式」ファイルから生成するアプリケーションがあると、データ入力作業を効率化できる可能性があり、要件の検討に値すると考えられる。
一方、「ポートレートシステム」はWebからのアクセスを前提にするので、パフォーマンス、セキュリティに対する十分な配慮が必要になるのはいうまでもない。
以上のような想定をもとに、本事業では、実施委員会の議論や、利用者側・学校側・開発側からの意見聴取をもとに、「ポートレートシステム」に求められる要件を定義する。
ポートレートシステムに求められる要件
30年度の成果目標
- 「ポートレートシステム」に関する要件定義書(30年度最終成果目標)
- 委託事業終了後も稼働可能なデータベースサーバー構築
- 「ポートレートシステム」のプロトタイプ
(利用者側・学校側ともアクセス権保有者のみがアクセス可能) - 「ポートレートシステム」の取扱説明書(利用者側・学校側)
- 普及・促進のための事業成果を公開するホームページの作成
31年度の成果目標(2年間を通じた最終目標)
- 「ポートレートシステム」に関するシステム設計文書(31年度最終成果目標)
- 「ポートレートシステム」のアルファ版
(利用者側は誰でもアクセス可能、学校側はアルファ版公開に同意した学校) - 「ポートレートシステム」のプロトタイプ
(利用者側・学校側ともアクセス権保有者のみがアクセス可能) - 「ポートレートシステム」の取扱説明書(利用者側・学校側)
- 事業成果の評価と情報公開シンポジウムの開催(普及・促進)
- 普及・促進のための事業成果を公開するホームページの作成
- 都道府県の設置認可情報を統合管理する専修学校行政システムの構築工数等の試算根拠の提供