専門職大学について

専門職大学等とはどのようなものですか?

平成29(2017)年5月24日、改正学校教育法が可決・成立したことで新しく誕生した学校種です。
専門職大学と専門職短期大学があり、総称する場合、「専門職大学等」と呼びます。

文部科学省では専門職大学等に関する情報をひとまとめにして、次のURLからアクセスできるようにしています。
専門職大学・専門職短期大学・専門職学科

このページから、Q&Aも閲覧できるようになっていますので、基本的なことはそのページを参照してください。

「専門職大学等」が誕生した直接のきっかけは、平成28(2016)年5月30日の中教審答申「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」の中に、新しい学校種として専門職大学の設置が盛り込まれたことにあります。

平成28(2016)年5月30日以降、制度設計のための議論がなされてきましたが、その議論の中で、議論が始まる前のイメージと変わったポイントが二つありました。

(1) 大学体系への組込み

当初、「新しい」学校種のイメージとして、大学でもない、専門学校でもない、その中間にあって、両者から独立した位置づけのものになるという印象がありましたが、議論の途中から、「専門職大学等」は「大学」の体系に組み込んだものとして位置づけられるようになりました。
したがって、その設置基準を決めるに当たっては、大学設置基準をベースに、専門職大学の考え方を加味したものとなっていきました。
認証評価についても、当然、大学に対して行われているのだから、専門職大学もという流れになりました。
結果的に、「新しさ」は徐々に薄れ、「専門職大学」は「大学」の一種と感じられる存在に変容したといってよいでしょう。

(2) 専門職学部、専門職学科の容認

当初、既存の学校法人が専門職大学を設置する場合、従来設置している大学とは別に、専門職大学を設置するイメージでした。
○○大学という総合大学があったとしたら、その大学を設置する学校法人が、○○大学とは別の「○○専門職大学」を設置することが必要と思われていました。
しかし、実際は、○○大学が、「●●専門職学部」や、「○○学部●●専門職学科」を設定することが容認されました(もちろん、「○○専門職大学」を設置することもできます)。

(1)、(2)により、大学を設置していない学校法人の場合、そもそも大学を設置することが可能であるかどうかが審査されるのに対して、すでに大学を設置している学校法人が「●●専門職学部」あるいは「●●専門職学科」を設置する場合はそのような審査が不要ということになりました。
つまり、専修学校のみを設置している学校法人が専門職大学を新設するためにはハードルが一つ多いということになりました。

専門職大学の設置認可申請の第1回では、
平成31年度開設予定大学等認可申請一覧(平成29年12月)

にリストアップされた専門職大学等の設置申請がなされましたが、このリストにある学校法人の多くは、専修学校のみを設置している法人であることがわかります。
逆に言うと、このリスト以外に、すでに大学を設置している学校法人が「●●専門職学部」あるいは「●●専門職学科」の設置認可を求めているケースもあるということになります。

平成31(2019)年度に開設することが認められた専門職大学・短期大学は
〇高知リハビリテーション専門職大学
〇国際ファッション専門職大学
〇ヤマザキ動物看護専門職短期大学
のわずか3校でしたので、そのハードルはかなり高かったものと思われます。

専門職大学等の認証評価はどのようなものになりますか?

「専門職大学等」が大学体系に組み込まれたことで、認証評価が義務となりました。
その認証評価においては、「専門分野の特性に応じたいわゆる分野別評価を行います」となっています。
専門職大学等の概要・特色

「分野別認証評価」は現在専門職大学院に適用されていますが、たとえば、専門職大学院のみを設置している大学の場合、5年に一度実施される「分野別認証評価」と、7年に一度実施される「機関別評価」の重複が大きく、効率的に評価を進めるという観点に立てば、制度的に見直す必要が取り沙汰されています。
そのような事情もあって、現状では、専門職大学等の認証評価の具体的な方法等は決まっておらず、今後の課題となっています。
「専門職学部」「専門職学科」も容認されたことで、現在の流れとしては、そのような学部・学科を設置している場合は、機関別評価の中で分野別評価を組み込むような方式の導入という話も出ています。
ただ、「大学」単位であれ「学部・学科」単位であれ、「分野別」という要素をどのように評価するのか、という問題をクリアーしなければならないことは同じです。
当機構も「専門職大学等」の認証評価機関となる可能性がありますので、このテーマに対して引き続き取り組み、情報発信を続けていきます。

専修学校のみを設置する学校法人が専門職大学等の設置申請をする上で第三者評価を受ける必要があるのですか?

大学等に関する文部科学行政は、平成3年のいわゆる「大綱化」の流れにしたがい、現在では、新しい学校の設置は「設置申請・認可」、その後は認証評価機関による「質保証」という方式で一貫しています。
「専門職大学等」は新しい学校種ですので、その設置は「設置基準」で認可し、その後「認証評価」を受ける(5年に1回となるもようです)という流れがまもなく開始されるでしょう。
したがって、「専門職大学等」としての認証評価を受ける時期はまだ先のことです。
また、第三者評価を受けていることが「専門職大学等」の設置要件になるということは、同大学が新しい学校種である以上、論理的にありえませんが、来る認証評価に備えることや、第三者の目を通して専門職大学の設置内容について評価を受ける、などの目的で第三者評価を受審してその結果を公表することは、学校にとっても、その学校への進学を検討する人にとってもプラスになるといえるでしょう。

専門職大学等の設置申請をしたいのですが・・・

専門職大学等の設置申請をしたいのですが・・・
専門職大学等も含め、大学の設置申請に関する手引・様式は次のページに公開されています。
申請・届出書類作成の手引、記入様式など

物量はかなり多いですが、上記のページには、申請書の例示もあり、書類を揃えるという意味の負担は最小限になるよう配慮されています。
とはいえ、専門学校のみを設置している学校法人の場合、第一に、財政状態も含めた学校経営基盤の安定性が審査され、それをクリアーしなければならないことに注意したいものです。
その条件をクリアーしたとして、設置申請項目としては、次の3つがポイントとなります。

  1. 施設・設備等の物理的制約をクリアーする
  2. カリキュラム・教育課程を要件に叶うよう編成する
  3. 要件に叶うよう教員を揃える


また、実践的な教育を使命とする専門職大学ならではのことですが、インターンシップ(「隣地実務実習」とよばれています)については、実習先の承諾はもちろんのこと、その施設・設備や面積についても条件が課せられています。
さらに、これが一番のポイントですが、そもそも学生の確保は大丈夫か?という観点から、設置申請時には次のような説明が求められます。(専門職大学の設置の認可申請に係る提出書類の作成の手引(平成31年度開設用)、
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/07/1397506_1.pdfより引用)

ア 高等学校卒業生のみならず、社会人等の多様な学生の確保の見込みについて客観的な根拠に基づき説明してください。
イ 前期・後期に区分する場合は、後期からの編入学者の受入れの見込みについても客観的な根拠に基づき説明してください。
ウ 既設の専門学校の同分野の学科の充足率が1.0 倍未満の場合は、その原因分析の上、当該大学では十分に学生が確保できることの根拠を説明してください。
エ 就職等の進路の確保について、産業界、地域等との連携を踏まえ、各企業等の機関がどの程度の卒業者を受け入れる見込みがあるかについて、客観的な根拠に基づき説明してください。

このような説明を可能とするためには、第三者機関に依頼した調査等を実施し、そのエビデンスを示すことも必要です。設置申請というと、細かい要件を一つ一つクリアーすることに気が行きがちですが、そもそも学生は集まるのか?という問に答えられる体制を整備する必要がある、このことを忘れがちになるので、十分注意が必要です。

専門職大学等の設置をお考えの方は、当機構宛ご相談ください。