専門職大学院認証評価機関

質保証国際連携実績報告

事業成果報告書

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事業成果概要

質保証機関の国際連携に関する調査

本調査では、

  • 国が異なる質保証機関同士がアクレディテーションを共有する
  • 異なる国同士の間でアクレディテーションを共有する

など、国や質保証機関の国際連携の事例を調査・分析し、連携にはどのようなパターンがあるかについて明らかにした。

調査結果の分析

国際連携の事例を調査・分析した結果、4つのパターンに分けることができた。

共同教育プログラムの相互認定

欧州などでよく見られる、複数の国の高等教育機関が共同で提供している教育プログラムが該当する。
ある国の評価機関が認定すれば、自国の評価機関が認定したのと同じになるという仕組みである。

海外質保証機関による評価の容認

他国の質保証機関による評価を認めるというパターンである。
例えば、ベトナムのハノイ工科大学、ベトナム国家大学ホーチミン市工科大学、ダナン大学工科大学、ハノイ土木大学は、フランスの研究・高等教育高等審議会の機関別評価を受けており、そのことがベトナム社会で容認されている。
また、台湾高等教育評鑑中心基金会(HEEACT)とマレーシア資格機構(MQA)は、双方が行う評価結果について互いに信頼している。

わが国の専門職大学院の認証評価における特例

これはすでに廃止された制度であるが、学校教育法第109条の特例として、専門職大学院の認証評価機関が存在しない場合に備え、学校教育法施行規則第167条で、「外国に主たる事務所を有する法人等で、適正な評価を行うと国際的に認められたものとして文部科学大臣が指定した団体による評価を受ける」ことが認められていた。
日本という国の専門職高等教育機関が、他国からの認証評価を受け容れることを容認していたという事例である。

分野ごと、資格ごとの相互認定

例えば、ワシントン協定に基づく、技術者教育認定の国際的相互承認を挙げることができる。
わが国では、JABEE(日本技術者教育連盟)が該当する。他にも、ASEANにおける職業資格の相互容認を挙げることができる。
すなわち、ASEANでは、7つの分野(看護師、建築士、医師、歯科医師、会計士、観光業)で互いの国の職業資格を認め合っている。
中でも進んでいるのが観光業資格で、飲食サービス9件、調理10件、接客5件、家政5件、旅行手配12件、旅行代理11件が該当している。

交渉等で汎用的に使用できる資料の作成

今後、質保証機関国際連携を進めようとしているわけであるが、その過程では、個別の学校において海外の学校・質保証機関との連携を図る事例の蓄積が必要である。
そのプロセスにおいては、個別の学校が、わが国の高等教育に関する説明を英語で行う必要が生じる。

そこで、当機構では本事業の中で、そのような説明機会において汎用的に使用できる資料(英語)を作成した。

国際シンポジウム

質保証、特に、職業教育の質保証に関する国際連携動向は、一部の分野ではすでに学校経営と密接に関係した関心事となっているが、わが国の人口減少、近隣諸国の経済成長等を背景として、今後、近い将来において、

  • 個別の学校が海外の学校と連携する
  • 教育の輸出をする(学校の海外進出)
  • 外国人留学生を体系的に受け入れる

などの動きが出てくることが予想される。
その流れを後押しするのが、質保証機関の国際連携であり、本事業では、専修学校関係者に、そのような国際連携動向を周知することを目的とした国際シンポジウムを開催した。


川口代表理事による開会挨拶


Ioannakis氏による基調講演1


Trao氏による基調講演2

ASQAとの交流協定締結

当機構では、上記に掲げた認識の下、平成28年度の本事業において、本田あけみ委員(当時)と川口昭彦がオーストラリアを訪問し、NQFの先進国である同国の質保証機関や美容学校の実態や意識について調査を行った。
その際、オーストラリアの政府機関である「オーストラリア技能質保証機関(ASQA、Australian Skille Quallty Agency)」を訪問し、質保証機関の国際連携について意見を交わした。
その折り、ASQAと当機構の交流協定締結に向けた検討を両機関が進めることで合意した(平成28年度事業の中で)。

その合意を受けて、両機関の間で折衝を続けた結果、今年度中に協力覚書(MoC、Memorandum of Cooperation) を取り交わすことで合意し、議論を重ねた結果、平成30年1月2日に締結の手続きが完了した。
国際シンポジウムの中では、この経緯についても説明を行い、質保証機関の連携とはどのようなことなのかを具体的に紹介する事例として取り上げることとした。


ASQAとQAPHEの交流協定調印式
(握手をかわすIoannakis氏と川口代表理事)

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、川口代表がファシリテーターの役割をつとめ、まず、参加者が記述した「質問票」の内容に登壇者が回答し、それをきっかけに登壇者が議論を交わす形で進行した。

国際シンポジウムの結果

国際シンポジウムは、関係者も含めると80余名が参加した盛会となった。
同時に、パネルディスカッションやアンケートの結果から、専門職高等教育質保証の国際連携推進に向けて多くの示唆を得ることができた。

美容教育の国際連携

本事業では、美容分野を例にとって、地道ではあるが意義深いこの作業の端緒を切りたい。
そのために、当機構が交流協定を結んだオーストラリアの制度を例として、わが国美容教育との一致性の検討を開始する。

オーストラリアのNQF

オーストラリアはNQFが確立した国である。
そこで、本事業では、オーストラリアの美容関係の職種を取り上げ、各職種におけるレベルの規定を和訳したものとNQFに関連した事項を組み合わせた「連携検討のための資料」の作成を試みた。
この資料は、美容専門学校に提供して、オーストラリアの○○職種のレベル○○と、わが国の美容専門学校における教育が対応しているかどうかを判断するための材料にするという意図である。

枠で囲んだ部分は、わが国の専門学校と同等と思われる箇所である。わが国の専修学校制度では、4年制の高度専門課程を設置することが可能で、それはほぼ大卒(学士、図で言うとレベル7)と同等と見ることも可能であるが、AQF体系の職業資格にはレベル7自体が存在しないので、レベル2~6が相当である。

オーストラリアの美容職種とレベル

美容と言っても幅広いが、AQFの体系の中で、わが国美容専門学校が卒業後の職種として想定しているものを探すと、「ヘアと美容サービス(Hairdressing and Beauty Services)」がある。この職種の下位に位置づけられる職業教育プログラムを表すと、次の図のようになる。

これを見ると、基本はレベル3であるが、その手前にレベル2として、「サロンアシスタント」、「化粧品販売」を位置づけていることがわかる。
「ヘア」はレベル3とレベル4に登場するが、わが国美容師国家試験の主テーマであるヘア技術がレベル3と同等なのか、レベル4までカバーしているのかは、AQFとわが国美容師国家試験を対象付ける重要な判断であろう。

さらに上を見ると、「セラピー」という心理学的要素が入ったものがレベル4とレベル5に位置づけられ、また、マネジメント要素が追加されるとレベル5に位置づけられていることが分かる。
レベル6は、「リーダーシップ」というヒューマンスキル領域が前面に出ており、そこをクリアーすることはより実践的なレベルに近づく印象がある。

本事業では、前述の通り、美容師国家試験の重要な要素である「へア」に着目し、まず、そのレベル3のプログラムが、わが国美容専門学校における教育プログラムとどれくらい整合しているかに着目することにした。

今後の課題

オーストラリアのNQFはヨーロッパのNQFと構造が似ており、オーストラリアとの対応関係がわかれば、ヨーロッパ諸国との対応関係も間接的にとらえることができる。
アジアでいえば、韓国のNQFはオーストラリアのNQFを参照して構築されており、日韓の対応関係もより明確にできると思われる。
ASEANの中では、マレーシアのQFが最も充実しているといわれており、次の連携交渉対象として有力と考えている。

今後は、同様の検討の対象とする国を増やすこと、分野を増やすこと、また、わが国でも、分野によっては業界標準的なQFがあるので、各国のNQFと比較するなどのバリエーションも試みてみたい。

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